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2024 .04.20
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今は郊外に越したので手放したけど、以前は舞台の稽古場とかスタジオとかの現場を回るのに原付を愛用していた。知っている人は知っている話だが、原付にどえらい量の機材を積んでやって来るのは私のトレードマークみたいに言われていた事もあった。

ある時、都内の某駅近くのダンススタジオで芝居の音合わせがあり、純正ケースに入れたmicroKORGと、ノートPCやオーディオIOなんかをどっさり持っていつものように原付で出向いた。近くに原付が並んで停まっている所があったので、そこに並べて仕事へと向かった。

音合わせが終わって戻って来ると、なんと原付に黄色の痛々しい輪っかが装着されている!原付も駐禁って切られるの?とびっくりしつつxx交番まで来なさいという記載に従いとぼとぼと交番に向かった。

交番に付き、中にいた20代後半〜30代位のお巡りさんに声をかける。

大「あの〜すいません。xxの前に停めてたらこれを付けられて…」
警「あーはいはい。近所の人から通報あってね。呼ばれると我々も反則切るしかなくてね。申し訳ないですね。」

と、全然申し訳無さそうじゃない口調で言われ、出された書類に記入を始めた。しばらくすると、お巡りさんがやけにこっちをジロジロ見ている気がする。そうだよな、こんな大荷物持ってて、怪しまれて色々聞かれたりするのかな。面倒だな…。

大「記入終わりました」
警「はい、ご苦労様。申し訳ないですね。」

と、口癖なのかまたまた全然申し訳無くなさそうに言って書類を見ている。さー、早い所帰らせてよ…。と思っていると、お巡りさんの口からまったく予想だにしない単語が唐突に飛び出した。

警「マイクロコルグ、どうっすか」

ん?なんか耳慣れた単語だ。警察の人から聞かれるような事って…マイクロコ…microKORG?

その時持っていた純正ケースにはでかでかと「microKORG」と書いてあるので、シンセ好きの人には中身が何か一発でわかる。しかし、まさかお巡りさんの口からそんな単語が出るとは!

大「シンセとかお好きなんですか?」
警「いやー、ボーナス出たら買おうかと思ってたんですけどね。」

それからしばらく、いくつかのシンセ製品の話題を交わした。まあ、もちろん警察にだってDTMが趣味の人がいても全然不思議はないけど、こんなシチュエーションでシンセの話をするとは予想だにしなかった。

ここは同好のよしみで駐禁見逃して…とは残念ながらならなかったが、今でもmicroKORGのケースを見る度、あのお巡りさんはまだあそこの交番にいるのだろうか、と思い出すのであった。
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今月もやって参りましたDTMマガジンの発売日。今号は、なんか数日前からちょっと話題になってた新VOCALOIDの情報がちらっとあったり、アニメ劇伴の大御所田中公平さんのインタビューがあったりと何かと読み応えのある内容です。



私の連載「フリーウェア・コンシェルジュ」では、サブ特集のアンプシミュレータ特集に連動して、アンプシミュレータと併せて使えるギター系の小物プラグイン(コンパクトエフェクター、ギターシンセ、チューナー等)をご紹介しています。

トータルなサウンドメイクとしてはやはりNative Instrumentsの「GuitarRig」とか凄いんだけど、ギターサウンドは自分なりのサウンドを作って行くのが楽しみの一つ。例えば、GuitarRigなんかがLine6とかBossのエフェクターだとすると、フリーウェアは海外のガレージメーカーの個性派コンパクトエフェクターと考えると良いかもしれません。

実際今回、今まで未チェックだったものも色々リサーチしましたが、結構すごいのが色々見つかりました。普通にギターにかけるのはもちろん、打ち込みのギターや、それ以外の楽器に使っても面白そうなものが目白押しです。まあ、うちのコーナーの良い所は万一気に入らなくとも一銭も損しないという事なので(爆)是非お試し下さい!

それと、もう一つの目玉は今月から始まった付録DVDへの効果音素材提供。自然音から電子音まで計111種類、ロイヤリティーフリーで自由に使えるwavファイルを収録しています。今回は、フリー版もある(しかもWin、Mac両版!)DAW「MU.LAB」のサンプラーやトラックに素材を読み込む手順も解説したので、そちらも是非参考にして下さい。

さて、早々と来月の連載ネタをチラっとだけ告知すると、アペンドも発売され再燃中の初音ミクをメインターゲットにした(もちろんそれ以外にも応用可能)「ボーカル加工」のネタをやります。今回はコンプとかディエッサーとかEQとか地味で難しいのは省いて、即物的に面白い効果の得られるエフェクトを、丸々マネすればOKのミク声向けセッティング付きでお届けする予定です。なんという安易な売れ線狙いキャッチーな企画!

というわけで、まずは今月号をどうぞよろしくお願いします!

おかげ様で、最近行っているDTMソフト講座系のUSTREAM配信もご好評を頂いており、これから益々様々な形の放送を行って行こうと計画を練っている。

それを通じて確立して行けたらと思っているのが「ライブDTM」という概念。今まで、電子楽器やソフトシンセを使ったパフォーマンスを行っても、それを「DTMのライブ」と呼ぶ事は無かった。

一方、USTREAMでは、物理的な「デスクトップ」(机の上)はもちろん、パソコンのデスクトップ上だって世界中に配信できる。通常、ライブの魅力は時間と空間の共有だが、なんせ従来に無いレベルの配信ツールが出てきたのだから、ライブの概念だって拡張されても良いはずだ。

ライブDTMはどんな形になるのか。ソフトシンセの演奏、DJ的なパフォーマンス、VOCALOIDやUTAUキャラのコンサート、色々考えられるが、こうしてちょっと考えて浮かぶようなアイデアはいっそ(それはそれとして)置いといていい。なんせ、今なら山のように“世界初”の試みができるんだから。

そんなわけで、自分でも「これは!」と思うようなアイデアは、実はここに書かずに秘密にしてある(笑)。なにか面白い「ライブDTM」の配信をやられる方は、タイミングが合えば是非拝見したいのでお知らせ頂けると非常に嬉しい。

デトロイトテクノが「ベッドルーム発」と言われたように、USTREAM発ならではの表現というのも絶対にあると思う。やはり去年から私が騒いでいる(笑)「バーチャルボーカルならでは」の表現とも高レベルでマッチングするし、是非ともさらなる未来を見たい、作りたいものだ。


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sent from W-ZERO3

USTREAM配信を熱心に始めてみたら、なんか丁度のタイミングで日本語化が実行されてびっくり。5月と言っていたのに、孫さん余程はりきっているのだろうか(笑)。

夕方に孫さんのスピーチをちょっとだけ聴いたら、「世界中にテレビ局は約2万社(そんなにあるのか!)、だけどスマートフォンを持っている人は3億人。これからはこの皆が配信できる」というような事を言っていた。これ自体は、インターネット黎明期の「誰でも世界に向けて情報発信!」と同じで「可能・不可能で言えば可能」という事だけど、非常に使い勝手がある事は間違いない。

自分の周辺分野で注目しているのは、もちろん音楽と、あと最近セーブしてるけど音響・音楽として関わる演劇の分野。単に従来のものをライブ配信するだけでなく、積極的な表現ツールとして活用できると非常に面白い。

例えば音楽は、単に色々な場所で演奏してみるのもいいし、今一つ考えているのは、複数のストリームを同時に使って(同期はとれないけど)何か面白い事できないかという事。まだAMステレオはもちろんFM放送も無い時代、NHKの第一、第二放送でそれぞれ左、右のチャンネルを送る事で、2台のラジオを使ってステレオ放送を行う番組があったと冨田勲さんの本で読んだ。複数のチャンネルで一つの作品を作り上げるという試みは(回線の負荷はきついが)うまくやればすごく面白そう。

一方演劇は、劇場からの中継というのは実はあんまり良い使い方ではないと思っている(あの空気はその場にいてこそなので)。そうではなく、例えば本物の密室や街中など現実の空間を舞台として芝居をやったりするのは結構面白いのではないだろうか。映像だけど、映画やドラマともまた一味違う。予測外の自体が起こる可能性もあるので非常にスリリングだ。

撮影では、きちんと許可をとらないとお巡りさんを呼ばれてしまうような事態になる事もあるけど、そういったハプニングも丸々流れてしまう(面白がっちゃいけないんだろうけど)。これから、悪徳商法の販売会なんかは大変だろうなあ。テレビどころか、誰がこっそり生中継しちゃうかわからないのだから。

「変化」という意味では、ネットの登場以来の地殻変動がおこるんじゃないかと感じている。是非とも、このツールの可能性を積極的に追求してみたい。

色々頭をひねった末、一つの決心に至りました。USTREAMで、ヒミツを白日の元にさらけだします!

…いや、別に前科を告白するとか、産まれたままの一糸纏わぬ姿を披露するとかではなく、試みとして動画や音楽・効果音を作っている、普段の仕事中のデスクトップを配信してみようと思います。

もちろん他社様の関係する守秘義務のある案件やセキュリティ上問題のあるものは出さないけど、自社案件の「ねこ素」素材の作成の模様なんかは問題ないので、After Effectsでの映像作りや、Cubaseでの曲や音作りの模様なんかを、ちょくちょく公開して行こうと思います。

守秘義務系の情報などは隠しても、作業中のデスクトップは作り手にとって文字通り「メシのタネ」の宝庫。本来なら門外不出のヒミツですが、低画質ながらも流す事でこういった分野に興味を持ってもらったり、色々参考にして頂けたらと考えてます。

加えて、昨年2回開催した、フリーウェアを使ったDTMのセミナーイベント「大須賀淳のロシアンルーレット」のオンライン版も積極的にやって行こうと思います。とりあえず、数日中にテスト配信をやってみるつもり。

配信は不定期で、数日前〜場合によっては直前に、Twitterなどで告知させて頂こうと思います。ご興味のある方は、是非フォローしておいて頂けるとありがたいです。

さてさて、どうなることやら。

最近「BONES」という海外ドラマにはまってカミさんとシーズン1から少しずつ観ている。すごく平たく説明すると、骨が専門の美人(だけどちょっと変)法人類学者が主人公のサスペンスで、毎回様々なシチュエーションで「骨」が話の柱となり、FBI捜査官の相棒と共に事件を解決して行くという話。

あとの詳細はWikipedia等でどうぞ。シリアスながら節操なくケレン味のある作りで大変面白いです。

さて、このBONESも、その他HEROESでもLOSTでも24でもそうだけど、ここらへんの海外ドラマは日本のドラマに比べて非常に重厚感がある。かかっているお金の違いとか色々あるだろうけど、私が思うに一番の違いはフィルム(風)画とビデオ画の違いだ。

詳しくない方のために軽く説明すると、テレビに映っている映像のうち、ニュース、スポーツ、バラエティなんかの生々しい質感のものはビデオ画、映画や上で挙げた海外ドラマなんかの深みのある質感がフィルム(風)画だ。

日本でも昔は(VTRが希少だった時代からの名残で)フィルム撮影のドラマが多かったが、ビデオの方がコストが安くなるにつれておぼ全てがビデオ画になった。ところが、ビデオ画は生々しさがある分、上手く使わないと軽さ、安っぽさが出てしまう危険がある。

一番わかりやすいのは、水戸黄門なんかの時代劇。時代劇は(撮影所の製作体制の事もあってか)かなり後までフィルム撮りが多かったが、ビデオに移行するにつれ、同じ番組でも奇妙な程軽い感じになってしまい、非常に安っぽく見えるようになってしまった。

先程フィルムの方が高コストという事を書いたが、実は現在はフィルムと同じような質感の画が撮れるデジタルビデオカメラが、本当の映画の撮影からアマチュアでも使えるものまで数多くラインナップされている。これを使えばビデオの機材・環境で安価にフィルム風の撮影が可能で、こういったものをテレビドラマで使っているケースも目に付くようになって来た。

ただ、なんかまだ「薄い」感じのものが多い。これは機材の特性のせいではなく、演出から編集まで様々な要因の積み重ねでそうなっているようだ。

フィルムは元々、闇の中にあるスクリーンに投影されるもの。対してテレビは、自発光する箱だ。薄さを感じさせる映像は、予め用意された自発光するステージに、持ち回りで出てきた学芸会の出し物のように見えてしまう。「闇」が無いのだ。

そこら辺、海外ドラマは陰影の使い方がうまい作品が多く、奥行や重厚感は日本ドラマの比じゃない。予算やSFX技術の違いもあるだろうけど、使いこなしやセンスの部分も大きそうだ。

そういう面で重厚さを出せているドラマがあったら、内容が多少アレでも(笑)だまされて観てしまいそうだ。そういったアプローチをする番組が出てこないのは、ちょっと不思議に思っている。

現在私は、いくつかの提携先様でPremiere(pro、elements)やAfter Effectsといった動画系ソフトのレクチャーを担当させて頂いている。

業務で使われる方、またはそれを目指されている方は良いのだが、常々思っているのが、動画作成をメインの業務としない一般の方、例えば会社やお店の宣伝動画を自ら作りたいという方に、もっと良いカリキュラムを用意できないか、という事だ。

こうした方達には、現在は大抵Premiere Elementsなどを使った動画作成の授業をさせて頂いているが、正直に言うと授業の芯となる部分はプロ向けのものとあまり違わない位高度になってしまうのだ(両者で違うのは、踏み込む深さの度合い)。それはある意味当たり前で、Premiere ProもElementsも作業の概念や編集のワークフローは基本的に同じなので、最低限覚えなくてはならない事は大差無いのだ。

ほとんどの生徒さんは熱意と努力でこちらが驚く程スキルアップして行くのだが、その一方で「もっとメインの業務に役立ててもらえるノウハウだけを効率良く会得してもらえないか」と常に思っていた。

そして最近、これは行けるかも、と一つ考えているのが、USTREAMのライブ配信(&その録画)と、PowerPointやKeyNoteといったプレゼンソフトを組み合わせた方法。すごく大雑把に言うと、ネット経由でプレゼンを配信するというものだ(もちろん、単にそれだけじゃないノウハウを現在開発中)。

これの良い所は、熟練してくれば「編集」のプロセスにかける時間を大きくカットできる所。テレビの、生番組スタイルの録画番組と同じような感じだ。素材の準備は必要になるが、それが終わればごく短時間でコンテンツを作る事が可能になる。

無駄なく洗練されたPVのようなものを作るなら、作る過程を楽しみたいのがメインという場合以外はプロに頼んだ方が絶対に良いものができる(揃えるものや時間を考えると、コストの面でも)。だけど、ネット動画の魅力はそういった点だけに存在するのではなく、もっとユーティリティ的な使いこなしをしてこそ、さらなる魅力を引き出せるはずなのだ。

音楽の場合、楽器を弾ける人であれば、例えばコード進行だけ大まかに決めておいて即興でやっても作品を作る事ができる。そんな感じで「弾き語り」のようなスタイルを確立できると、動画はより使い勝手の良いツールになって行くはずだ。

近いうち、色々実験も兼ねて(だけどもちろん楽しんで頂けるような)USTREAM配信をやってみるつもり。どうぞお楽しみに!

確か5年ほど前、その頃イケイケだったライブドアがフジテレビを買収するしないの話題でもちきりだった頃、当時社長だったホリエモン氏が、通信と放送が融合した場合のメリットとして「ドラマなども、ネットからの視聴者の感想により展開を変えていける」といったような意味の事を言っていたと記憶している(記憶なのでこの発言自体の正確さは完全ではないが、少なくとも同じ事は他の人の発言でも何回も耳にした)。

これを聞いて、そんなものはドラマを面白くするのに何の役にも立たないどころか、むしろ害悪でしかないじゃないかと呆れた。例えば現実にあるような事として、2ちゃんねるの書き込みを見て過剰に反応してストーリーが二転三転するようなドラマがあったら、トンデモ見たさ以外の意味で見たいと思うだろうか。多分、ホリエモン氏の発言はマスを見方につけようとするリップサービス的なものではないかと思うが。

それから大分年数がたったが、今にしてみるとネット企業がテレビ局を買収する意味はほとんど無くなってしまったと言っていいだろう。テレビ自体の利用価値はまだあるとは思うけれど、今のネットのスピード感や小回り具合から行くと、テレビ局なんて持った途端に不良債権になるだけだ。そもそも2つは、コンテンツの作り方が本質的に違っている。

テレビのコンテンツの作り方は、様々な意味で「お客様本位」だ。ここでいうお客様とは、スポンサーの場合と、視聴者の場合の二通りがある。スポンサーへの配慮は置いとくとして、問題は視聴率というシステム。30%取っている番組は優秀と言われるだろうが、言い方を変えれば70%は見ない番組とも言える。それでも、限られたチャンネル数の中の最大公約数を取っていくしか無い状況下では、他に良い尺度が無いのも確か。

それに対してネットの本質は「思い込み」で出来ている。個々人のコンテンツは当然として、公益性のありそうなものでも「これは役に立つに違いない」という、言わば思い込みを前提にしてコンテンツが置かれて行く。それもこれも、スペースは無限では無いにしろ限りなく広いという事と、完全に同時性を持って受け取らなくても良いという性質がもたらす余裕から来ている(「リアルタイム」と言われるTwitterやUstreamでも本質は同じ)。

以上のような特性の違いがあるから、言われているような意味での「放送と通信の融合」って、難しいというより「つまり何をしたいの?」という疑問がわいてしまう。一つテレビ側に不利な事としては、通信を使って「放送っぽい事」をやるのは簡単だけど、放送を使って通信ぽい事やるのは非常に難しい(意味も無い)という事。

皮肉なのは、放送は「オキャクサマホンイー!!」という呪縛で転げまわったあげく独りよがりなコンテンツばかりになってしまい、個々の「思い込み」が無数に連なったネットはユーザビリティーがどんどん向上して行ってるという事。テレビは、周りなんか見ない方が面白い番組できるんじゃないかなあ?

今回のタイトルは、数年前「結局、俺のやりたい事って何なんだろ?」と考えた時に達した結論。何かよくわからないようでいて、私の事を良く知っている人達には結構納得してもらえる表現だ。

今の私は、音(音楽も、音響も、効果音作りも)と映像(実写も、アニメーションも)の両方を生業としている。本人としては、戦略的なスキルアップなどがあったわけではなく、興味があるもので生計を立てる事にあくせくしているうちに気がついたらここに来た、という感じなのだが、ある時、それらを繋ぐものは何だろう?と色々考えた時に出たのが上の結論。

両方を比べて、音楽は会社に勤めながら曲を作ったりのアマチュア期間が長かったけど、映像系は(ずっと興味はあったものの)初めて一本まとまった作品を作ったのは「仕事として」だった。よって、映像に関しては(きちんと作品を作り続けるという意味での)アマチュア期間というものが無かったとも言える。

それも関係してか、自分の中でのアイデンティティのバランスは「音」の方により傾いており、意識としては「映像に強い音屋」という感覚でいる。

ここに至るまでの紆余曲折は本当に本当に長いものだけど、思い返してみて子供の頃最初に表現への欲求(なーんて言うと格好いいが(笑))らしきものが芽生えたのは、漫画に対してだったと思う。同年代のご多分に漏れずキン肉マンの超人をあれこれ考えたり、そもそも絵本以外で最初に徹底的に読み込んだのは、幼稚園前位の時に買ってもらったドラえもんの9巻だったと記憶している。小学校の時は赤塚不二夫のマンガ入門を読みながら、オリジナルの作品を描こうと試みながら、ついぞ今まで完成していない。

自分の場合、画力に深刻な問題があるため漫画方面には行けなかったが、その後手にした様々な手法でものを作る際も、まだ「アイデア」にもなっていない段階のごく初期のひらめきのようなものは、説明しにくいのだけど漫画と同じエキスで出来ている感じがしている。それを形にしたのが「漫画みたいな事を漫画以外の手段でやった」結果と言っていい。

さて、何で今日こんな事を書いているかと言うと、確か以前も書いた、漫画家の佐藤秀峰さんが主催するオンライン配信サイト「漫画 on Web」が正式オープンして、何かここでやってみたいという欲求にかられているからなのだ。

もちろん普通の漫画を描いても人様に見せるようなものはできないが、ここは「本」の体裁になってさえいれば広く門戸が開かれている。漫画の歴史上かならずエポック的な存在の一つになるであろうこのサイトで、自分の引き出しを使いながらも「漫画以外の何者でも無い」ものを、しかも自己満足の実験ではなく、お金を払って頂く娯楽として成り立つ形で(ここ大事)やってみたい。最近、そんな欲求が非常に大きくなっている。

ちょっといやらしい事も言っちゃえば、注目度が高い割に参入障壁が低く、今の所ライバルも少ない「漫画 on Web」は、作品を自分自身の手で売りたいクリエイターには非常に魅力的な場所(しかも2ヶ月は無償で使えるし)。今は非常に大きなチャンスですよ。

公開してから少し時間がたつけど、恵比寿の美容室「髪工房PaPa」様のPV作成を担当させて頂いた。


お店は恵比寿駅から数分の好立地で、映像にもあるようにアンティークで統一された内装がとてもお洒落。スタッフの皆様もとてもフレンドリーなお店なので、ご興味を持たれた方は是非一度お店のサイトもご覧ください。

さて、実はこのムービー、Panasonicの動画一眼「GH1」で撮影している。お店の皆様にご協力頂きながらスタッフは私1人という最小規模の撮影体制だったが、普通のビデオカメラ撮影とは一味違う面白い画を撮る事ができた。

今回の一番のポイントは、本格的な「オーバークランク」(高速度撮影によるスローモーション)を多用できた事。通常のビデオカメラは秒間訳30コマで撮影しており、これをスロー再生するとコマとコマの間が無くなるためカクカクした動きになる。

しかしGH1は、1280x720ピクセル(いわゆる720p)の解像度なら秒間60コマの撮影が可能。このPVでは、60fpsの映像を映画と同じ24fpsに落とし込む事で、2.5倍のなめらかなオーバークランク効果を得ている。これは今まで、安いやつでも60万円位するクラスのビデオカメラでしか出来なかった事なので、10数万円のGH1でここまでやれてしまうのは非常に衝撃的だった。

スチール用の一眼(←詳細は省くけど、実はGH1は”一眼レフ”ではないのでこの表記)に高度な動画機能を乗せるのは今のトレンドだけど、個人的には「なんで出来ないんだろう?」と思っていた事がやっと実現した感じだ。乱暴な言い方をすれば、秒24コマ以上の静止画を連射できれば動画になるんだから。

多分、処理系の部分は最近のプロセッサの能力でやっと実現可能になったんだろうけど、膨大な蓄積のあるスチールカメラのレンズや構造をムービーに活かすというのは、ある種「枯れた技術の水平思考」と言えるかもしれない(微妙にニュアンスは違うかもしれないけど)。

この「枯れた技術の水平思考」は、任天堂でゲーム&ウォッチやゲームボーイを企画した伝説の人物である故・横井軍平氏の言葉。最新のものばかりではなく、既に広く普及しているものを発想を変えて使う事で、価格やトラブルの発生を抑制しながら新しいモノを作るという事。

例えば初代ゲームボーイは、当時既にカラー化も可能な中で白黒の液晶を採用した事で、価格を抑えると同時にバッテリーの持ちも大変良いという特徴を生み、同世代の携帯ゲーム機の中でダントツの勝ち組となった。この流れが最近のDSやWiiに至るまで受け継がれているのは、誰の目にも明らかだろう。

様々な分野で言える事だが、ものすごい新技術があっても、それを全然陳腐な発想でしか使えていない「最新技術の水没思考」とでも言うような場面のなんと多い事か。経験や蓄積は大きな財産だが、それを思考停止の口実に使ってしまうと非常に残念な結果を生む。

変な話、ドラえもんの道具をトンデモない発想で使うのび太はすごいなあ、と最近とみに思う。ドラえもんの来ない未来では、就職に失敗して起業したりしてるし(笑)。あれは、花火で火事にしてなければ、結構ドラえもんが来なくとも成功していたかも?(^^;)。

筆者プロフィール
音楽・映像制作、原稿執筆、レクチャー等のお問い合わせ&ご依頼は、こちらのフォームからお寄せください。


大須賀 淳(おおすが じゅん)
1975年生 福島県出身

音楽・映像制作「株式会社スタジオねこやなぎ」代表取締役。音楽・映像コンテンツ作成、雑誌「DTMマガジン」他での記事執筆、After Effects等映像系ソフトの講師も行っています。

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