2025 .02.03
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動画は、iPad版の不思議の国のアリス。なんだかこれを観ると、電子書籍普及の是否やら権利関係の事やらをちまちま言っているうちに、時代だけがとんでもなく先まで行ってしまう気がする。この前結成された日本の出版社の寄り合いは、これ以上のインパクトを一度でも打ち出せるだろうか?
音楽業界はついぞそれができずに、着うた以外はiTunesが席巻してしまった。また遅れて外資系のストアにばかり乗る形となり、せいぜい「村上春樹全作配信開始!」なんてのを最大のPRポイントにするのだろうか。それも今のうちならインパクトがまだあるけど、いつまでも過去の遺産では食べていけない。
話をアリスに戻すと、これは確かに「電子書籍の醍醐味」を存分に感じさせる、読み手としても作り手としても大いに刺激的な一品である事は間違いない。ただ、こういった派手な仕掛けはやはり「特殊事例」であり、あくまで静的なコンテンツである書籍がどうスマートに電子化されて行くかにも非常に興味がある。動(イノベーション)と静(トラディショナルの継承)の均衡あってこその「次世代」だと思うので。
このアリスは、絵本という媒体を非常にうまくデジタルの領域で拡張しているけれど、例えば音楽作品でもこうした拡張が何か行えないかなあ、と色々考えている。例えば、iPhoneで聴く事が全体のアルバムなんてのも面白い。音声ファイルではなくアプリとして配信して、例えばGPSと連動して滞在している場所でミックスを変えるとか、振動を感知してBPMを変えるとか(これもうあったっけ?)、カメラの画像から天気や室内/屋外を判断して変化するとか。
一つ書いておくと、例えばビートルズの「サージェントペパー」みたいに細部まで作りこまれたトータルアルバムは大好きだし、作り手としても自分の意図をなるだけ完全に反映させた形のものを出したいという欲求もある。だけど、ベスト盤以外の「アルバム」がどんどん衰退している現在の状況を打破するために、こうした拡張のアプローチはどんどんすべきと思う。10数年前(「マルチメディア」の流行の頃)に囁かれた「インタラクティブ」が、やっとまともな形で可能になって来たのだから。
うちでもなるだけ早くそうした試みを入れた作品をリリースしたいけど、他のプロジェクトとの兼ね合いで少なくとももう少しは後になると思うので、上で書いたiPhone用アルバムのアイデアとかにピンと来た方がいればどんどんやってしまって欲しい。最近はAR(拡張現実)が流行ってきているけど、音楽作品や映像作品の概念だってどんどんカクチョーできる、カクチョーされるべきものなのだ。
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